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ベトナムサッカーはどこに向かうのか、U20W杯とHAGL信仰にみるこの国の未来(3)
2017/07/25 10:00 JST配信
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(C) bongda+, HAGLのグエン・コン・フオン、胸にはアーセナルのロゴが。(現在は提携終了)

欧州サッカーの影響力拡大がもたらす“弊害”

 現在ベトナムでは、欧州サッカーが圧倒的な人気を誇っている。特にプレミアリーグやチャンピオンズリーグの人気ぶりは、Vリーグを凌ぐものだ。これは、インターネットの普及により、誰もが簡単に欧州リーグを観戦したり、それに関する情報にアクセスしたりすることが可能になったところが大きい。ベトナムでは多くの若者が欧州クラブのユニフォームを着てサッカーを楽しみ、週末には熱心に試合を観戦している。

 そして、このようなサッカーファンたちは、ヨーロッパのトップチームに似たプレースタイルを自国のチームにも求めるようになっている。もちろん彼らも、ヨーロッパのトップ選手とベトナム人選手の技術に天と地の差があることは分かっているはずだが、それでも同様のサッカーを求めてしまうのが人の性だろうか。その結果、アーセナルやバルセロナのような美しいサッカーを目指すホアン・アイン・ザライ(HAGL)が、彼らの欲求を満たす“おもしろい”チームとみなされるようになっている。

 また、ヨーロッパを感じさせるという意味では、HAGLがアーセナルと提携(※今年7月に業務提携契約終了)していたことも人気に拍車をかけた。もし彼らがアーセナルと提携せずに、アーセナルのエンブレムを胸に着けて戦っていなければ、今ほどの人気はなかったかもしれない。さらに、グエン・コン・フオンやグエン・トゥアン・アインらがアーセナルアカデミー相手に好プレーを見せたことも大きかった。彼らなら世界に近づけるかもしれないと誰もが感じたはずだ。

 ネット普及に伴う欧州サッカーの影響力拡大により、国内のレベルがまだ高くないにも関わらず、ファンの要求するレベルが過度なものになってしまうという現象はベトナムに限ったものではない。たとえば、中国では欧州リーグで活躍するスター選手を獲得し、国内リーグでプレーさせることによって、そのようなファンの要求に応えようとする動きがある。だが、それは自国選手の育成や代表の強化に直接的につながるものではないだろう。実際、多くのアジアのサッカー発展途上国が、欧州サッカー普及の“弊害”に苦しめられている。

 かつては、国内でのサッカーの盛り上がりとともに、等身大のスピードで自国代表の強化を進めることが可能だった。日本がそのいい例だ。2002年のワールドカップ誘致活動に伴ってサッカーへの関心が大きくなった日本では、Jリーグを創設し、少しずつ代表の強化を進めてきた。そして今の地位まで辿り着くことが出来たのである。

 だが、現代サッカーではこのように地道に代表を強化していくことが難しくなっている。ヨーロッパサッカーで目が肥えたファンたちは、その成長を待っていられないのだ。ファンの要求ばかりが高まっていき、理想と現実とのギャップがどんどん広がってしまう。それはまさに、“通用していない”パスサッカーが圧倒的な支持をうけるというベトナムサッカーの現状にも顕著に表れている。

理想と現実のはざまで。ベトナム代表が歩むべき道とは…

 もっとも、パスサッカーを理想として掲げること自体には、なんら問題はない。むしろそうあるべきだろう。パスサッカーのような高度な戦術を志向することが、高い技術を持つ選手を生み出すことにつながるからだ。選手個々のレベルアップなくして代表の成長はあり得ない。

 問題なのは、パスサッカーという高すぎる目標の陰で、勝負にこだわり、守備やハードワークを主体とする現実的なサッカーが“つまらないもの”として軽視されていることだ。このタイミングでU-20ベトナム代表が大きな功績を収めたのは、ベトナムサッカーにとって幸運だったかもしれない。彼らが貫いてきた“つまらない”サッカーに目が向けられ、正当な評価を受け始めたからだ。

 いまこそ、代表の戦い方についてもう一度議論すべきだろう。守備戦術やハードワークを重視する、身の丈に合った戦い方も地道な代表の強化には不可欠であり、軽視されるべきものではないという認識を、メディアやファンも含めたベトナムサッカー界全体で共有する必要があるかもしれない。

 HAGLのような華麗なサッカーと、U-20ベトナム代表が見せた、泥臭く、堅実なサッカー。一見すると相対するようにも思えるこの二つのスタイルのサッカーが上手く融合をみせた時、ベトナムサッカーには明るい未来が待ち受けているに違いない。

筆者プロフィール片方明(Katagata Akira)
東京外国語大学に在学し、2017年夏までハノイに語学留学。サッカー好きが興じ、昨年はイギリスの大学に短期留学しサッカー学を専攻した。ベトナムでは語学を勉強する傍ら、スタジアムに足繁く通った。

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[2017年7月25日 片方明]. 
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Vリーグ順位表
順位 クラブ名 得点 失点 勝ち点
1 FLCタインホア 25 14 33
2 ハノイFC 28 16 28
3 タンクアンニン 25 19 27
4 サイゴンFC 23 17 27
5 サンナ・カインホアBVN 22 21 26
6 クアンナムFC 26 20 25
7 ハイフォンFC 20 18 25
8 SHBダナン 25 22 22
9 ホーチミン・シティ 20 23 20
10 ソンラム・ゲアン 22 26 17
11 ホアン・アイン・ザライ 19 26 17
12 XSKTカントー 21 28 14
13 ベカメックス・ビンズオン 19 23 13
14 ロンアンFC 17 39 5
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